お嬢様になりました。

息が上手くできなくて、肩が激しく上下する。


こんなキス知らない。


やだ……っ!!


私は力一杯海堂の胸を両手で押した。


それでもビクともしなくて、だんだん恐怖が増していく。


離れるどころか、床に押し倒され海堂は私の体の上に乗った。



「ッッ……!?」



ブラウスの中に大きくゴツゴツとした手が滑り込んできて、私の体は硬直した。


首元に埋められた顔。


首筋に感じる生温くて柔らかい感触。


口は自由に動くのに、声が出なかった。


視界がぼやけていく。


何でこんな事になってるのか分からない。


こんな事されなきゃいけない事、こいつにしちゃったの?


ねぇ……何でこんな事するの?


凄い速さで色んな考えが頭に浮かぶのに、何一つ口にする事が出来なかった。


頬に温かい感触がして体がビクッと反応する。



「……悪かった」



瞬きをすると涙が目尻から零れ落ち、視界がクリアになっていった。


いつの間にか密着していた体は離れ、海堂は私の上に乗ったまま私の頬に触れていた。



「さッ触らないでッッ!!」



海堂の手を引っ叩く様に振り払い、私は後ずさった。



「な、んで……ッこん、な……」



喋れば喋るほど涙も零れ落ちていく。


海堂の手が伸びてきて私の体は強張った。


苦しそうに顔を歪める海堂。


何であんたがそんな顔すんの?


何で?



「先に戻る」



海堂の大きな背中が遠ざかり、ドアが閉まった瞬間ドッと涙が溢れた。