お嬢様になりました。

目を離したいのにできない。


玲の顔が近付いてくる。


綺麗な顔が……。


息が触れそうな距離まで近付いた玲の唇。


その唇と唇が触れそうになった時、私は急に我に返った。



「べ、勉強しよッッ!!」



グッと玲の体を両手で引き離した。


危ない。


あとちょっとでキスするところだった。



「嫌だった?」



玲の寂しそうな顔を見て心がキュンッとなった。


悪い事をした気分。


ダメダメ!!


この雰囲気に流されちゃダメッッ!!



「嫌とかそういう事じゃなくて、あの、えっと……私たち別に付き合ってるわけじゃないじゃん?」



私の言葉に首を傾げる玲。


何で?



「付き合ってないとキスできないの?」

「付き合ってない男女は普通キスしないの!!」

「普通って何?」

「普通って言うのは……」



普通って何!?


自分で言っておきながら、何て説明していいか分からなかった。



「葵とキスしたいと思った。 それじゃ理由にならないの?」



不満そうな顔で訴える玲の顔を私は両手で挟んだ。



「付き合ってもないのに、相手の了承無しにキスするなんて変質者と一緒だよ!? 変な事言ってないで勉強するよ!! 時間ないんだからッッ!!」



椅子にどかっと座ると、玲は可笑しそうに口元を緩ませ隣に座った。


冷静を装いながらも、心臓はバクバクいっていて、身体中熱くて堪らなかった。