お嬢様になりました。

「ご褒美、何がいい?」

「ご褒美?」



抱きしめられたまま玲の顔を見上げると、玲も私の事を見下ろしていた。



「頑張ったご褒美」

「そ、そんなの貰えないよっ!! つきっきりで教えてくれただけで十分だからっ!!」



寧ろ私が玲にご褒美、と言うかお礼しなきゃいけないのに。


玲にはいつも驚かされる。



「ご褒美は諦める。 平均七十点以上取ったら、お祝いしよう」



次はお祝い!?


何言っても引かないって事!?



「何、するの?」

「何でもいい。 葵がしたい事」



私がしたい事……。


そう言われても何も思い浮かばなかった。


それにこれだけ勉強のできない私が、いくら玲が丁寧に教えてくれたからって、いきなり平均七十点以上取れる気がしない。



「テストが全部返ってくる迄に考えてくれればいいよ」

「……分かった」



まるでもう結果がわかってるみたいな口ぶり。


玲のこの自信はいったいどこから湧いてくるんだろう。


玲は私の髪の毛をひと束掬い上げると唇を落とした。


その仕草はまるで御伽の国の王子様みたいで、目を離す事ができなかった。


玲の心が分からない。