お嬢様になりました。

「ただいまぁー」



玄関のドアを開けると真っ暗で、誰からも返事は返ってこない。


最初は辛くてバカみたいに泣いていた。


でももう泣くのを止めた。


泣いたってしかたがないから。


電気をつけ靴を脱ぐと私は家の中に入った。


まず一番に向かう場所。


それは……。



「お婆ちゃん、お父さん、お母さん、ただいま」



仏壇の前。


私は手を合わせ、心を落ち着かせる様に目を瞑った。


小学生の時にお婆ちゃんは脳梗塞で他界してしまった。


そして両親は高校入学して直ぐの頃に交通事故で他界してしまった。


繋がりのある親戚はいなくて、私はこうして一人で生活している。


両親がマンションを残してくれたおかげで、住む場所には困っていない。


それでも生活費はかかってしまう。


だから毎日バイトに入って生活費を稼いでる。


両親が残してくれた貯金や保険金はあるけど、出来るだけ使いたくなくて生活に困った時だけ預金通帳から引き出して使っている。


今日の報告を終えた私は、遅めの夜ご飯を食べる為、リビングに向かった。