「まぁ、もし俺が桐生と同じ班だったらこっそり交換してやるよ」
「マジで!?」
「森センにバレたら絶対うるさいだろうけど。
あの人、くじ引きにはこだわりがあるらしいから」
「ありがとう!」
やっぱり、持つべきものは友達だ。
これで確率が少し増えた……。
「あ、白石君」
……その時。
俺が聞き間違えるはずのない、柔らかな声が聞こえてきた。
「桐生」
耀が反応すると、桐生はノートの束の一番上から一冊だけノートを取って耀に手渡した。
「はい」
「あれ……桐生、数学係だっけ」
「ううん。
さっき森センに押し付けられた。
授業までに配っとけって」
耀と話す桐生の手元へと視線を移す。
何か……大変そうだな……。

