「でも、何となく分かるな……緊張するって」
「え、そう?」
「うん。
あたしも少しそういうところあるから。
……特に今回は」
「ん?何?」
「あ、な、何でもない!」
最後の方が聞き取れなくて聞き返すと、桐生は顔を赤くしながら大きく首を横に振った。
少し不思議に思ったけど、特に突っ込んで聞いたりはしなかった。
ていうか、俺もそんな余裕はなかった。
心臓はもう破裂しそうな程バクバクしていた。
隣にいるだけでこんなになるなんて……
俺……どんだけピュア……。
そんな自分に少し呆れながら……でも、ここから始まる三日間の修学旅行に思いを馳せていた。

