周りのクラスメート達は楽しそうに騒いでる。
……だけど、俺はそれどころじゃない。
最高に幸せな状況にいるけど、それと同時に最高に緊張している。
平静に……平静に……
自分に言い聞かせるけど、俺の胸の高鳴りは収まりそうにない。
とりあえず意識を逸らそう……
バスにゆったりと揺られてればいいんだよな!
よし、そうしよう!
早速俺は後ろの耀に許可を取って背もたれを少し後ろに動かして、体勢を楽にしてみた。
そして何気なく肘置きに手を置こうとした。
……が
「あ……」
俺が肘置きに肘を置こうとした瞬間……桐生の肘と俺の肘がぶつかった。
「ご、ごめん!」
「う、ううん!大丈夫だよ」
そう言うと、桐生は肘置きに載せようとしていたらしい腕を下ろした。
「あ、いいよ、使って」
「ううん、西丘君どうぞ」
「いや、でも……」
俺が譲ろうとすると、桐生は俺の方を見ながら小さく笑った。

