窓際に座るあたしのちょうど前には、何かを考え込むようにボーッと窓の外の景色を眺めている西丘君。


「西丘君?」

「え……あ、何?」


あたしが声をかけると、西丘君は少し驚いたような顔をしながらも優しく微笑んだ。

そんな表情に少しドキッとしながらも、あたしは口を開いた。


「みんなトランプやるって」

「トランプ?」


西丘君は騒いでる四人の方へと視線を移した。


「耀ちゃん……トランプ切るの下手すぎじゃない?」

「耀くんって何でも器用にこなしそうなのに……」

「意外と不器用だったのね」

「あぁもう!!
うるせぇな、お前ら!!」


そんな様子を見ながら西丘君は小さく笑った。


「俺、今回は本当にくじ運よかったかも」

「そうだね。
みんな面白い人達ばっかりだし」

「それもあるけど……。
やっぱ一番は……」


そこまで言いかけて、西丘君は口を閉じた。

あたしが不思議に思いながら西丘君を見つめると、西丘君は顔を赤くしてあたしから目をそらした。


「西丘君?」

「な、何でもない……」


何でもないようには見えないけど……

あたしが首を傾げると、横から声をかけられた。


「拓海んも桐生ちゃんもババ抜きしよーぜ!!」

「あ、うん!」


西丘君の反応が少し気になったけど、あたし達はみんなでババ抜きを始めた。