朱音side

「よっしゃー!
ババ抜きしよ!ババ抜き!」

「イェーイ!」


いつにも増してハイテンションな渡辺君と桜。


「うるさっ……」

「無駄にテンション高すぎなのよ」


そんな二人をウザったそうな目で見る真央と白石君。


そう、今日から修学旅行。

今は京都へ向かう新幹線の中なのです。

班でまとまって座れと言われたので、あたし達は三人席の前後を向かい合わせて座っている。


「耀ちゃん、トランプ切って!」

「何で俺が……」

「耀くん!はい、これ!」

「……速水、トランプを切るのにハサミはいらない」

「え、そーなの!?」

「何で素で驚いてんだよ……」


白石君はため息をつきながらもトランプを切りはじめた。


あたしはそんなみんなの様子を見て微笑みながらも、視線をまっすぐ前へと移した。