「よっしゃー!
ミラクルナベちゃんズに決定だ!!」
いきなり渡辺君の大声が聞こえてきてビックリしながら教卓の方を見ると、渡辺君は嬉しそうにガッツポーズをしていた。
「えー……絶対あたしの名前の方がカッコよかったんだけどなぁ……」
「くじは絶対だからな!
ね、森セン!」
「……俺も納得いかない」
「え!?」
「さてはお前、イカサマしたな!」
「何でそうなんの!?」
「ナベちゃん、ズルはダメだよ!」
「いや、だから俺は……!!」
くじ引きの結果、あたし達のグループ名はミラクルナベちゃんズに決定した……らしい。
「ていうか、そもそも何でグループ名なんて……」
「アイツら、アホだからね。
森センも含めて」
「森センが一番ダメだよね」
「確かに」
西丘君は向こうで騒いでる森センを見ながら小さく笑った。
「……そういえばさ、桐生」
「ん?」
森センからあたしへと視線を移した西丘君の顔は……ほんのり赤くなっていた。
「三日目の自由行動って……誰かと約束してる?」
「自由行動?
うーん……特に約束はしてないかな。
でも多分、真央と桜とかと回ると思うよ」
あたしがそう言うと、西丘君は赤らんだ顔で……でも真剣にあたしの方を見た。
「じゃあ……さ。
もしよかったら、その日……」
西丘君が何かを言いかけた……その時だった。
「拓海ーん!!
速水と森センがいじめてくる!!」
教卓の方から走ってきた渡辺君が西丘君に勢いよく飛びついた。
「ちょっ……ナベ!
空気読めって……」
「空気?
何それおいしいの?」
「はぁ……それで?
速水と森センがどうしたって?」
「それがさ!!
速水と森センが俺がイカサマしたって……」
西丘君は渡辺君に引っ張られるようにして教卓の方に行ってしまった……。

