「いやー、本当にお前はツイてるな。
この俺のお手伝いができるなんて」
「……嬉しくないです」
「絶対来いよ。
サボッたら明日から一週間一人で教室の掃除だからな」
「……分かりましたよ」
掃除だけは絶対に嫌だ……。
しかも一週間なんて……。
「大丈夫。
お前の他にもう一人いるから。
とてもとても幸運な奴がな」
とてもとても不運な人じゃなくて……?
「てことだから、必ず来いよ。
分かったな?」
「…………………」
「桐生、返事」
「……はい」
あたしが仕方なく返事をすると、森センは満足げに笑ってあたしの横を通り過ぎて去っていった。
「はぁ……」
あたしは小さくため息をついて、少し重たくなった足取りで教室へと向かった。

