「ね、ニッシー!」
ニッシー……?
「ニッシー?
おーい、聞いてる?」
「え?……俺のこと?」
「うん」
速水は笑顔で頷いた。
何だよ、そのネッシーみたいな呼び方……。
「ニッシーはどこか行きたいところないの?」
もう定着してるし……。
「そうだな……。
俺は……」
行きたいとこ……。
みんなが俺の方に注目する。
……その時、視界にこっちを見つめる桐生の姿が入った。
「桐生は?どこか行きたいとこないの?」
と、さりげなく聞いてみたりする。
……よくやった、俺!
一人心の中で歓喜していると、桐生は少し考えながら口を開いた。

