ぱっぱとノートを配り終えて桐生の所へ報告をしに行く。

ただ、俺が話したいだけっていうのもあるんだけど……とにかく桐生の元へ行く。


「終わったよ」

「本当に?早いね!
あたしはあと二冊……えっと……青井くん……」


残りの二冊の内一冊を机の上に置きながら残ったノートを見る桐生。


「あ、これ西丘君のだ」

「え?」


桐生の手元を見ると、確かにそこに残っていたのは俺のノート。


「はい、どうぞ」


そうにっこり笑いながら手渡しされる俺のノート。


「あ、あぁ……うん、ありがとう」


少し声がどもる。

ヤバい……何かドキドキしてきた……。


「手伝ってくれてありがとう」

「いや、全然」


その笑顔と……

手渡しされたこのノートだけで……


たったそれだけで十分満足な、単純な俺だった。