二人ぼっち

 『只今変わりました、三橋です。いきなり本題に入りますが、名前・年齢・働ける時間を教えて頂いても宜しいですか?』

 丁寧な対応の三橋さんは、男性だ。三橋さんはとても優しい声。
面接をしているのならオーナーや店長ではないかと、柚夏と話していた。バイトを始めたら、必ずお世話になる事だろう。
私は緊張を見せぬよう、頭の中で内容を整理しながら答えを返した。

 「山川玲衣、15歳です。平日は学校が終わってからですので17時から、休日は何時からでも入れます。」

 『んー…分かりました。明日の17時頃、面接に来ていただけますか?』

 「はい、伺わせて頂きます。」

 『じゃあ、お願いしますね。』

 「はい、失礼します。」


 三橋さんが電話を切ったのを確認して、私も通話終了ボタンを押した。私の電話が終わった事を見計らってなのか、丁度良いタイミングで柚夏が部屋に戻ってきた。

 「どうだった?」

 「うん、明日の17時に面接だよ!」

 「私は16時半からなんだ♪ 頑張ろうね!」


 柚夏は話し掛けてくれていたが、あんまり会話が頭に入って来なかった。
実は…私は高校受験の時に、面接で緊張してしまい全然質問に答えられなかった。明日の面接もとても心配で… 行くのすら止めてしまいたい気分だ。