『プルルルル・・・ プルルルル・・・』
呼び出し音が耳に響く。何時電話に出るのか分からない為に、緊張する。
緊張のせいで、すぐにでも電話を切ってしまいたい気持ちを抑えていると、受話器の無効から女の人の声が聞こえて来た。
『お電話有難う御座います、喫茶チェリー高ノ木駅前店です。』
店に電話した時での、決まり文句だ…。
それにしても、女性にしては低い声だ。けれど聞いていると、心が落ち着く。声の張りというか、若々しさがあるから大学生ぐらいだろう。
なんて考えていると、向こうから『あのー…』という声が聞こえてきた。
…返事を忘れていた!と戸惑いながら返事をする。何て返せば良いのかは、学校で柚夏に言われていたのだ。
流石は柚夏。私のアガリ症をちゃんと理解している…!
「そちらに貼ってある、アルバイト募集の貼り紙を見て、電話をした山川です。担当の三橋(みつはし)さんに変わっていただけますか?」
『はい、かしこまりました。少々お待ちください。』
受話器から音楽が流れ始めた。しかしすぐに音楽は切れ、担当の三橋さんであろう声が聞こえてきた。喫茶店という事も含めて、店内は広くないのだろう。


