雑誌では、私が男か女かわからないということになってはいるけれど……。


 こんな言い方をしてしまっては、まるで“きーたん”が恋人のようである。


「これ私でしょ!? 何してんの!?」


「……そうですね、はい。つい癖できーたんと言ってしまいました。きーたんのことは“きーたん”以外の情報はバレていないので安心して下さい。それと、黙っていてごめん。迷惑かけた」


「そういうことじゃないの! “きーたん”を恋人と勘違いして、ファンが減ったらどうするの!」


「その点に関しては後悔は一切しておりませんし、僕の顔ファンはいりません」


「……自分でイケメン自覚しているなんてキモい」


「キモいのはきーたんもね」


「は? 私のどこがキモいって?」


 先程までの申し訳無さそうな要ちゃんはもう消えて、普段の要ちゃんに戻っていた。


 その姿に何故かほっとした。