「要ちゃん!」
「……なに」
「これ何!?」
「んー……?」
彼の目の前に広げているのは、雑誌の作家特集の記事。そこには要ちゃんの姿があった。
それなりに売れている作家の彼は、世間一般で言う、イケメンの類に入るらしく、顔目当てのファンもいる。
そのためか、この雑誌のインタビューで恋愛面について聞かれている。
質問に対して彼は『俺はきーたんと社長がいればいいよ。あ、社長っていうのは猫なんだけどね、大胆不敵で賢いんだよー』と笑顔で言い放っていた。
当然“きーたん”とは誰かについて聞かれるわけだが、彼は一切そのことについての話をしなかったらしい。