「宙人がアスのこと好きだって、わかるよ。アスは宙人君に愛されててるのもわかるよ。でも、違うでしょ?」
どうして、アスにはわかったのか不思議だった。
でも、アスの瞳は優しくて空と重なった。
「宙人君の想いが空ちゃんに伝わるまで。アスが傍にいてあげる。アスが応援してあげる。」
「・・・アス、どうして・・・」
「宙人君が去年、謹慎処分になってまで、空ちゃんのこと助けたの、空ちゃんが好きだからでしょ?」
虐められていた空を、ひなたと二人で助けた時から、アスは俺を見ていたんだ。
「・・・アス・・・・」
「そんな顔しないで。」
アスは、俺の頬を手で包む。
何をしていたんだろう、俺は。
空と霜月の仲に嫉妬して、自分も彼女を作って。
その上、自分の本心まで見抜かれて。
「空ちゃんは必ず宙人に気づいてくれる。だってもう、空ちゃんは霜月と付き合ってるんだよ。」
――――そう、空は俺とアスが付き合ってから数週間後、霜月と付き合い始めたのだ。
「・・・・ごめん、アス・・・。」
「謝るのはアスだよ。アスは宙人君につけこんだんだもん。」
アスの手は、温かくて俺はその手に自分の手を重ねる。
「霜月に嫉妬してるの、なんとなくわかってたから。今なら彼女になれるって、思ったの。」
だから、お互い様だね。なんて笑い合う。
「空ちゃんが霜月と別れるまで、アスが一緒にいてあげる。」
「うん。」
「だから宙人もアスの願いが叶うまで、一緒にいて」

