理由なんて必要ないと思った。
ただ目の前に、悲しそうに、淋しそうに笑う海がいたから。
笑顔が見たいと思ったから。
ただそれだけのことに、理由なんていらない。
「私・・・」
「海?」
「私、昔お母さんに聞いたことがあるの。」
「何を?」
「なんで産んだの?って。」
海は、私の応えに納得がいかなかったのだろうか。
淡々と、話し出す。
「そしたら、こっぴどく怒られた。」
そう言って、私をまっすぐと見る。
「言い訳とか、聞きたくない。
私自身がそう思ったんだ。
優秀な姉を二人も抱えて、比べられて馬鹿にされて、そう言わずにはいられなかったんだよ!
なのになんで怒るの!?
空ちゃんだって同じじゃん。
私は惨めなんだよ。部活の仲間に見捨てられて!学校にも来れてなくて!
好きなことも好きじゃなくなって!!
誰が私を助けてくれるの!?
綺麗事なんていらない!!」

