ひなたは柔らかな顔を浮かべてそう言ってくれた。
それから、私とひなたは海を迎えに行った。
朝の早起きはすごく大変だけれど、海に会えると思えば苦とは思わなかった。
しばらくして、海は迎えに行かなくてもくるようになった。
正確にはくる日数が増えた、というのが正しいのかもしれないが。
「海はいつも本番の前に来ていいとこどりじゃん。
演技がうまいからって主演ばっかりで!」
演劇部の部員たちは、口々にそう言った。
私はそれを、何も聞いてはいないフリをした。
「空ちゃん、私、本当に部活にいていいの・・・?」
「当たり前じゃでしょ。海がいなくちゃ、私のパートナーがいなくなっちゃうよ。」
「私でじゃなくなっていいじゃん。皆、主演やりたいんじゃないの?」
海にそう言われた時に、あぁ、やっぱり海にも聞こえていたんだなって、改めて実感した。

