「竹君さん なんか嬉しそうですね」


竹君さんの嬉しそうな顔を見てたら勝手に口が動いていた。


改札手前で竹君さんの脚がピタッと停まった。


あっ‥マズイことをいっちゃった。


何?‥どうしちゃったの竹君さん!


「華 お前‥何言ってるんだ?」


「えっ何って?」


ため息を吐きながら首元のネクタイを緩める竹君さん。


「はぁ―‥ この数ヶ月間、いやっ!
お前がスイスへ逃げてから俺がどんな気持ちでいたか。
華‥お前わかってないだろ?」


「竹君さんの気持ち……を‥私は知りたいです」


やっと言えた。


「華。 俺の気持ちは……あ――
言葉じゃ言い尽くせない!!」


言い尽くせない?


「「華 これが俺の気持ちだ!!!」」


私の視界が真っ暗になった。


地下鉄の駅が停電になったわけじゃない。


竹君さんが私にキスをしてるから…暗い。


竹君さんが地下鉄の改札で私にキスをしてる…。