ありがとう…………
先生に一番に伝えに行きたい。
"先生と生徒" っていう、
禁断の関係のあたしたち。
一緒にいた時間は、
すごい短かった。
1年ってあっという間、って
ホントだね………。
「これで、卒業式を終わります…………」
どこからか聞こえた
その放送に、
パッと我に変える。
体育館を出るときに
冷たい風が頬にあたって初めて気づいた。
あたしが、泣いていることに。
思い出せば尽きない先生との思い出。
教室での最後の先生の話も、
明日からはもう、
聞くことは出来ないんだ。
当たり前だったことが、
明日からは当たり前じゃない。
そのことが、
心に重くのしかかった。
でも、それと同時になんだか、
スッキリした気分もした。
「じゃあ、最後に1つ……お前らに今まで黙ってたけど……」
再び喋りだした先生に
みんなが一気に注目する。
「俺、夏川 柚希と……久佐野 弥冬は去年の春から付き合ってた」
「「「えぇえ―――――――――――!!!!!!!????」」」
先生の突然の告白に
教室が騒がしくなる。
「卒業したら、教師と教え子なんて関係じゃなくなるしな?」
「ちょっ、弥冬!!! どーゅうこと!?」
クラスの人たちの標的が
先生から、あたしに向いた。

