本当に好きなんだから。
学年が2つ違うだけなのにあんなに大人に見える先輩が遠く見える。
だけど好きなのには変わりがないから。
放課後は必ずと言っていいほど秋斗先輩がいる体育館に向う。

秋斗先輩はバスケ部でエースだ。
バスケのルールなんて全然知らないあたしは、こうして見てるだけ。


「おぉ、美沙ちゃん!来たんだ!」


ニコッと向けてくれる笑顔もスラリと長い脚も本当に見とれてしまう。
走ったりゴールにシュートを決めたり必死にボールを奪う秋斗先輩がとても輝いてみえるんだ。

体育館の端っこでポツンと座っているあたしはバスケ部の人から見たら、たぶん邪魔者だと思う。

だけど1秒でも長く秋斗先輩を見ていたいから・・・。
およそ2時間ぐらいで部活は終わり男バスのメンバーは帰りの支度の準備をしていた。


「美沙ちゃん、一緒に帰る?」


帰りの準備が終わると優しい笑顔で言ってくれる秋斗先輩に胸がドキンと音を鳴らした。


「はい!帰ります!」


帰り道、すごくドキドキしながらも必死で話題を探しながら歩く。


「あのさ美沙ちゃんってさ・・・」

「はい?」

「いつもバスケ部見にくるよね!」


いきなり聞かれて戸惑った。


「はっ、はい!」

「もしかして好きな奴とかいんの?」


先輩は冗談で言ったんだろうけど、図星で何て言えばわからなかった。


「・・・はい。いますよ?」


気持ちをごまかすのは自分的にあまり好きじゃないから正直に答えた。
それを見て「マジで?!」と驚いている秋斗先輩。
驚きすぎだよ・・・、秋斗先輩。


「美沙ちゃん恋してるんだ!誰?!」


秋斗先輩の目はとってもウキウキしてた。
ここで「秋斗先輩です。」って言えば、告白って事になるんだよね。