俺は足を止めて、後ろにいる麗美ちゃんに振り向く。 「なんで?」 「最初に言ったオーディションが今日の夕方からなのよ」 「はぁ?」 「かなり急ぎだけど、綾斗なら大丈夫でしょ」 「ちょっ、いきなりすぎだろ!」 「だから急ぎって今、言ったじゃない!」 「もっと早く言おうよ……」 「ほら、時間ないんだから、早くタクシー乗って!!」 「はいはい、」 つーか、まだ仕事の内容聞いてないし。 今からオーディションとか、ふざけてんのかよ……。