「ごめんね、雅ちゃん。今日は映画の表彰も兼ねて手放せない仕事なんだ」

「そう、なんですか…」



珠樹さんの言う映画とは、最後の映画のことだろう。


珠樹さん主演の映画は、世界でも大ヒットして、数々の有名な賞を受賞したんだ。



「そう遅くはならない予定だけど、もし何かあったらすぐ連絡するんだよ」

「はい、」

「あと、5時…くらいかな。テレビつけておいて」

「あ、はい?」



テレビ?


なんだろう?



珠樹さんは仕事へ行ってしまい、家にはあたし一人。



一人だと、ものすごく落ち着かなくて、トイレとリビングを行ったり来たりしている。



そして思うのは、無意識にお腹を撫でることが多くなったなということ。