「え、っと…」

「奥様、天音さんが毎日お帰りが遅いのを心配されて、どうせならこの家の敷地にスタジオを作ってあげようとされて」

「スタジオを!?」

「年が明けたら、着工するそうです」

「いやいやいやいや、」



早すぎでしょう。


あの母親、なにを考えているのか。




「奥様は、接し方がわからないのですよ」




あたしが思ってることがわかったのか、家政婦さんはそう言ってきた。



「接し方?」

「はい。奥様も幼き頃から活躍されて、天才と言われてた方ですからね」

「それは…聞いたことあります…」

「奥様のご両親は大変お厳しかったと存じてます。親の愛情を受けずに奥様はそだったのです」

「愛情…」