『そんなに共演したいのだったら、あなたが監督に頼めばいいものを、綾斗に決断させるなんて、ほんとバカなのね』

『いいんだよ、これで』

『ほんと、バカなのね…』




俺は部屋に引き返した。



俺と共演することが、父さんのわがまま?



「はぁ…」



なんだか、すっきりしない。



でも、なんでかしらないけど、さっきよりも父さんと一緒に仕事したいって思ってきた。




せっかく最後なんだし、父さんのわがままを叶えてあげようかな。



いままでお疲れ様でした、その意味を込めて。



父さんと共演、してみよう。



間近で香月珠樹をみて、あの人のみている世界を感じよう。



これからの俺の励みになるように。