実を言うと、雅には言ってないけど、父さんは俺と雅が付き合ってることを知ってる。
雅がプラチナのモデルの時に色々あった際、父さんに頼んで裏工作をしてもらった経緯がある。
たぶん、口が軽いから麗美ちゃんが言いふらしただろうし、母さんも知ってるはず。
「監督の娘さんなんだから、大事にな」
「わかってるって」
一応あいつ、有名な監督の愛娘だからな。
「父さん、今日仕事は?」
「もう終わった。どっか飯食いに行くか?」
「いいの?」
「個室を用意するから大丈夫だ」
そう言って電話をかける父さん。
簡単に予約を取れるあたり、大物だなと感じる。
俺もいつかはこうなりたい。



