何度も乗ったわけじゃないけど、それなりに運転はうまい方なのかもしれない。
俺ってほんと、なんでもできるんだなと思った。
この車は麗美ちゃんに貸すことも多いから、俺の私物より麗美ちゃんの私物の方が多い。
せめて片付けくらいはしてほしい。
雅を家まで送ってから家に帰ると、珍しく電気がついている。
「あ、いたんだ」
「おかえり。どこいってたんだ?デートか?」
「まあ、そんなとこ」
「相手は……ああ、あの子か」
「そ、」
最近の仕事の傾向からか、日本にいる時間が長くなり、家にいる機会が増えた父さん。
相変わらず桁違いに忙しいみたいだけどな。
父さんが家にいるって、なんか不思議な感覚だ。



