「っ……」



思わず動揺してしまい、一瞬歌を詰まらせる。



一瞬だから気づいた人はそうそういないと思う。




「アマネ?」

「だ、だいじょぶ…」




動揺する心臓を抑えながら、ラスト一曲。



ファイナルに相応しい大盛況で最後は終わった。



でも、あたしの心はここにあらず。




「アマネ!?」



ステージ裏に下がったあと、あたしは廊下を走る。



お母さんがいた、


お母さんがいた!!




「天音!」

「綾っ…お母さんはっ!?」

「俺もさっき見かけた、でもすぐいなくなって…」

「お母さんっ…」



ラストギリギリに間に合ったらしい綾がお母さんを見かけたのは、ほんのすこしらしい。