それに“綾斗”は何者なんだろう?



見たことあるようなないような……。




あたしはまた泣きたい一心で家に走って帰る。



「ついに雅も朝帰りかよ」

「光(ひかる)…話聞いてっ!」

「今から仕事。如月綾斗との初仕事なんだから、遅れちゃマズイんだって」

「きさらぎ……」

「帰ったら話聞いてやるからさ!」



あたしと入れ違いで家を出て行く光。



「きさらぎ…あやと……」



無意識にお腹に手を当てる。




始まりの夜は、突然訪れた出会いから。




あたしはもしかすると、とんでもない人と、一夜を過ごしたのかもしれない。