腕を掴まれたとおもったら、一気に暖かい体温が伝わってくる。



「んっ……」


あぁ、キス、してるんだ……。



「んっぁ…」



口の中を舌でかき回される、甘く濃厚なキス。


あたしはついて行くのが必死。



「これで寂しくないだろ?」

「っ……」



バカ……。

もっと寂しくなるじゃんか……。



エレベーターを降りたあと、ホテルから出て行く如月綾斗の後ろ姿を眺める。



キスを拒まなかったのはあたし。

もっと一緒にいたいと思ったのはあたし。



あたしは、彼の、虜になっている。



彼をーー好きになりかけている。