ハルはまだ泣き続けている。俺は泣けばいいと思った。悲しみと不安と恐怖を溜め込むだけなら思いっきり泣けばいいと。きっとこれからもっと溜まっていくだけだと思うから。
サトシの部屋からおじちゃんが顔だけを出した。
「お前らもう帰り」
それだけを言うとすぐサトシの側へ戻った。
ガラス越しに見える部屋の中には、サトシの上で泣くおばちゃんがいた。
まだ泣き止まないハルを支えてキイチが歩く。
また無言のまま昨日と同じように動く。
ハルがいなくなり、タツがいなくなり、キイチと二人きりになった。
顔を前に向けたままキイチに話し掛ける。
「サトシ起きんね」
ずっとずっと頭の中をぐるぐる回って止まらない嫌な妄想を誰かと共有したかった。
「・・・ん」
「サトシどうなんかね?」
キイチは何も言わなかった。
キイチは共有してくれなかった。口に出す事を拒否したんだと思った。
口に出すと自分が全てを認めてしまうようで、全てが現実になりそうで・・・。
俺はキイチになんて言って欲しかったんだろう。
何も言わないまま家に着いた。
「ありがと」
キイチは頷くだけで、また挨拶をしなかった。俺はもうキイチがあの挨拶をする事がないような気がした。何となくだけどそんな気がした。
サトシの部屋からおじちゃんが顔だけを出した。
「お前らもう帰り」
それだけを言うとすぐサトシの側へ戻った。
ガラス越しに見える部屋の中には、サトシの上で泣くおばちゃんがいた。
まだ泣き止まないハルを支えてキイチが歩く。
また無言のまま昨日と同じように動く。
ハルがいなくなり、タツがいなくなり、キイチと二人きりになった。
顔を前に向けたままキイチに話し掛ける。
「サトシ起きんね」
ずっとずっと頭の中をぐるぐる回って止まらない嫌な妄想を誰かと共有したかった。
「・・・ん」
「サトシどうなんかね?」
キイチは何も言わなかった。
キイチは共有してくれなかった。口に出す事を拒否したんだと思った。
口に出すと自分が全てを認めてしまうようで、全てが現実になりそうで・・・。
俺はキイチになんて言って欲しかったんだろう。
何も言わないまま家に着いた。
「ありがと」
キイチは頷くだけで、また挨拶をしなかった。俺はもうキイチがあの挨拶をする事がないような気がした。何となくだけどそんな気がした。

