「たくさん人いるから。迷子にならないでね?」 彼は前を見たまま私に言う。 少し空いてしまった距離を 歩幅を広げてほんの少し縮めた。 『何か懐かしい』 「そう?」 『学校から一緒に帰ってたときさ。言われた。』 「何て?」 『お願いだからいなくならないでって』 彼と私は友達だった。 両想いだったのは6年前の6月だ。 それからお互い素直になれず すれ違った私たち だけど 私はずっと好きだ。