やっぱり何かもう一枚羽織ろうかと思って家の中へ引き返そうとしたら、
「珠稀〜!」
大きなスーツケースを転がして手を振る翔馬が見えた。
それだけで寒さなんかすっかり感じなくなって翔馬に駆け寄る。
「ただいま!」
駆け寄ったあたしに翔馬がにっこり微笑む。
胸の奥がぎゅーっと締め付けられる。
「おかえり」
3日ぶりに見る翔馬はやっぱりかっこよくて。
どうしても好きになってしまうんだ。
「どうだった?楽しかった?」
あたし達は近くのベンチに座ってたくさん翔馬の思い出話を聞かせてもらった。
バス移動でのクイズとか。
美味しかった食べ物とか。
ホテルでは子供みたいに枕投げした事とか。
まるであたしも一緒に行ったみたいに楽しく翔馬の話に頷いていた。
