「だって、翔馬は好きな人がいるんだよ?それなのに…」
それなのに、どうして。
あたしを惑わせる事ばかり言うの?
――翔馬はあたしの気持ちを知らないから
――あたしが、翔馬の幼馴染だから
だから。
だから、なんだよね。
ただそれだけの事、なんだよね。
「だから」
「え?」
あゆみがふいに言った。
「だからとびきりに可愛くして行かなきゃね」
モンブランのてっぺんにある栗を口へ運びながら言う。
「好きな人を差し置いて、珠稀を誘ってくれたんだから」
ハッとして俯いていた顔を上げた。
「…うん」
「あ、ちなみにこれもウチの名言ね?笑」
あゆみの名言は時に魔法のように世界をキレイに見せてくれる力を秘めている…みたい。
