好きになった理由はわかんない。

ずっと一緒に居て最初は憧れ、だった気がするけど気付いたら異性として好きになっていた。


なのに――…



―『珠稀!聞いて聞いて!
俺…運命の人に出逢ったんだよ…っ!!』

―『……え?』



入山 珠稀(いりやま たまき)
10才。
失恋は突然やってくるとも知りませんでした。



―『それって誰?珠稀の知ってる人?』

―『ん?知らない人だよ、俺も全然知らない子だから』



涙を堪えて問いただすとそれは転んで怪我をした彼に絆創膏をくれた見ず知らずの女の子だったようです。



―『なあーんだ!!』



それじゃもう二度と会うことないじゃん。



失恋一色だった心はみるみる癒えてふんわりと安堵に包まれる。


人騒がせだなって、本当に良かった、ってあたしは思っていたのに――…