時計の針の行方


その後も一方的な展開が続いた。
相手は、何度も何度もシュートを放ってくる。
しかし、B組も必死で守っているため、なかなかゴールネットを揺さぶることができなかった。


ここで前半終了。
重苦しい空気の中、ハヤトはゴールポストを背に座っている上江田に声をかけた。


「よう、お疲れ」

ハヤトもすぐ隣りに座り込んだ。

「やっぱ、攻めなきゃダメだよなー…」

上江田は、小さな声で呟いた。
前半は、攻めるどころではなかった。
あのまま続くのはさすがに勘弁してほしい。
GKとして、切実に願っていた。

「よっしゃ、決めた」

「決めたってなにが?」
ハヤトは、上江田の決心を多少期待した。

「お前以外、全員攻めさせる」