先生を指示を受け、各自バラバラに準備体操を始めた。
「なあ、上江田。今日はFWやっていいか?」
ハヤトは手首のストレッチをしながら、隣りで柔軟体操をやっている上江田に話しかける。
「なんだ、珍しいな。いつもはゴールポスト守ってるくせに」
上江田は、目を丸くしながら答えた。
ハヤトは普段の授業ならば、自陣のゴールポストに寄り掛かっているだけだった。
しかし、いきなりのFWやりたい発言に、上江田は驚きを隠せなかった。
「ああ、たまには攻めてみようかと思ってな」
腕をブランブランさせながら答えるハヤト。
「まあ、俺は構わないぞ。頑張って点を取ってくれよ」
そう言った後、ハヤトの肩をポンポンと叩いた。
人並み以上に大きい手。
不思議と信頼感がある手だった。

