行く宛がない私。
結局、お金がないと何にも出来ない。
なんて不自由なの?

そんなことを思いながら、パパを横目に見ると何やらどこかへ向かっているらしい。




「…玲、私はもう一度会社を作り直すよ。だから待っていてくれ…」
「うん!」



私にはパパしかいない。
ママは私を産んで程なくして息を引き取ったと聞いた。
だけど、寂しいなんて思ったことはないよ。
だって、私にはパパがいたから。



「…慎吾!」
「久しぶりだな、一彦。…その娘か、大きくなったなー」
「ああ。来た早々悪いが、玲を頼む」
「分かってる」
「…恩に着るよ」



颯爽に姿を消したパパ
は?
私はあんぐりとしてただ立っていた。