「…そんなに知りたいんなら教えてやるよ」 「…や、やっぱいいです」 急に漂い始めた不穏な空気に慌てて首を横に振ったけど。 「…俺」 若宮のいつになく真剣な瞳が、あたしを捕らえて逃がさない。 「俺の好きな奴、は…『キーンコーンカーンコーン』 絶妙なタイミングで授業終了を知らせるチャイムが鳴った。