ご飯を食べた後、私と葵、それから慶は私の部屋にいた。
なんで慶がいるのか不思議だ。
「椿、いいのか?
優さんにこいつ紹介して」
「きっと兄ちゃんは優しく微笑んで、頭を撫でてくれる」
少し声が低くなり、悲しげな声で、そう言う私に、慶は何も言えない様子だった。

何も知らない葵は
「お兄さんと仲いいのか?」
少し首を傾げ興味深そうにきいてきた。

「仲いいよ。
多分、いや絶対私達みたいに仲いい兄弟はいないと思う」
私がそう言うと、隣で首を大きく縦に動かす慶。

「羨ましい。
俺、一人っ子だから」
そう言った葵の顔は、どこか悲しそうな、寂しそうな感じだった。

「さてと、そろそろ行こーぜ。
優さんの所」
「そうだね。
じゃ、着替えるから向こう向いてて」
2人は頷いて私に背を向けた。