――ガラガラ
「‥居たの」
机に伏せていた人物は、ユックリ顔をあげて私を見た。
「隣の席の‥。」

取り合えず暑いからドア閉めて、池沢から離れた所に座った。
「名前、なんての」
「‥‥星野椿」
「へぇー。
どっかできいたことある‥。」
首を捻って考え出す。

「はぁ。 山本組組長の娘」
「あー」
それだけ?
普通なら、逃げたり、焦ったりするのに、それだけ?

「逃げたり、しないの」
「なんで山本組の組長の娘から逃げなきゃなんないの」

初めて言われた。