パイプ椅子に腰をおろす。
そういえば、体育祭があるんだっけ。
出る気ないけど。

机に置いてある携帯を見る。
その携帯には、この前買った紫色の蝶々のキーホルダーがついている。
迷った末、携帯につけたのだ。

――ブー ブー ブー
携帯は学校ではマナーモードにしている。

「もしもし」
[今裏門にいんだけど。
これるか?]
「すぐ行く」

外、出たくないなぁ。
「はぁ」
靴には履き変えず、そのまま裏門に向かった。

「はい、弁当」
来たのは勝(まさる)。
「ありがとう」
なんかこれじゃ、勝が奥さんで私が旦那さんみたいだ。
「あと、これ」
渡してきたのはお茶。
「気が利くじゃん。
ありがとね。
気をつけて帰るんだよ」
「椿は母さんかよ」
そう言って帰って行った勝。

お茶とカツ丼。
‥は、箸は!?
「ビックリしたぁ」
カツ丼が入っている袋に入っていた。

「涼しっ」
まだ2時間目なのにカツ丼とお茶を持って図書室に向かう。