私は自分の席につき、いつものように空を見た。

――ガラガラ
「座れー。
えーっと、今日は転校生がいる」
いっきにざわつく。

「入っていいぞ」
入って来たのは、オレンジに近い色した髪、ふわふわパーマをかけている。
可愛い顔した男。

「池沢 葵(いけざわ あおい)
よろしく」
ぎこちなく笑った。

「池沢の席は、星野の隣だから。
星野、手挙げてくれるか?」
私はユックリ手を挙げた。
「あの隣な」

男は無言で席についた。

「夏休みは楽し――――」
笹倉先生の話は、きっと長くなるであろう。
私はそう思って、また空を見上げた。

‥あ、弁当忘れた。
なんて冷静に思った。
昼どうしようか。
持って来てもらえばいっか。

「――じゃあ、授業頑張れよ」
頑張れって言っても無駄だと思うけどね。
なんてったって、不良高ですから。

ドアの方を見ると、凄い人。
きっと転校生を見に来たんだな。

私が立って、ドアの方に向かうと、人は一斉に道をつくった。