「あっつぅぅ」
「大丈夫か!?」
ラーメンを私は口から出してしまった。

「水飲め、水」
幸い客が沢山いて騒がしかったから誰にも注目されることはなかった。

「口、火傷した‥。」
「大丈夫か?」
私をからかうでもなく、馬鹿にするでもなく。
ただただ心配してくれる兄ちゃん。

「大丈夫」
フー、フーと息をふきかけて食べる。
少し火傷が痛い。

なにやってんだ自分。
絶対慶がこの場にいたら笑ってるな。
いや、慶の前じゃこんなへましないか。

「ここのラーメン、美味しかったね」
「ああ」
「兄ちゃん、行きたい所あるの?」
「まぁな。
椿さ、髪切らねーの?」
エンジンかけると、兄ちゃんは私を見た。

「んー、切った方がいい?」
「ああ」
「じゃ、切る」
「美容院、行こうか」
「今から?」
「うん」
兄ちゃんは車を出した。