人形

｢俺の嫁さん｣
｢初めまして。
杏子(きょうこ)です｣
笑顔が綺麗な女。
第一印象はそれだった。

｢初めまして。
星野財閥の跡取りの星野優です｣
兄ちゃんは、相変わらず作り笑顔。

｢初めまして。
山本組の時期組長の星野椿です｣
私は無表情で少し頭を下げた。

｢この２人は兄弟なんだ｣
幸助が私らを見て、奥さんに言った。

｢あ、これ。俺らから｣
差し出したのは、さっき買った服。
｢おー、ありがと。
‥気が早いな｣
幸助は中を見て、苦笑いをした。
｢ありがとうございます｣
奥さんは小さく頭を下げ、微笑んだ。

｢幸助の奥さん綺麗じゃん。
幸助には勿体ないね｣
｢うっせーよ｣
きっと幸助の奥さんは、いい思いはしてなかったと思う。
私達は、幸助に敬語を使わないし。
私は、ヤクザの時期組長だ。