「てゆーか、兄ちゃんってなんのバイトしてんだろ」
ふと気になった。

兄ちゃんは他人には結構冷たい。
なのにバイトなんか出来るのか?
‥いや、でも兄ちゃん顔いいからなぁ。
帰ってきたらきいてみよ。

~~~♪
「もしもし」
[俺、もう少ししたら帰れるから]
「うん」
わざわざそれだけを?
[で、仕事の同僚連れて行くから]
「‥‥‥わかった」

まじかよ。
「あ、洗濯物取り込まなきゃ」
急いで取り込んで、急いでたたんだ。

――カチャ
「ただいま」
「「お邪魔しまーす」」
まてまて、今女の声きこえたけど!?

入ってきたのは、1人の女と1人の男。
‥見なかった事にしよ。

「お腹減ったぁ」
ソファーに座ったまま首だけを動かして兄ちゃんに言った。
「おう、今から作るから。
こいつらの相手よろしく」
投げられたのはビール。

「てゆうか、この子、誰?」
おしとやかな女。
裏表は‥なさそう。
「俺もそれ思った」
大人しめの男。

「優君の彼女」
なんちって。
「「え?」」
2人は声を見事に揃えた。
兄ちゃんは台所で笑っている。
その笑顔は、いつもの作った笑顔だった。

「嘘ですよ。
私は、妹の椿です」
「‥あ、私は優君の友達の
秋本 玲奈(あきもと れいな)
です」
「俺は、原 雅人(はら まさと)」
自己紹介なんかしちゃって。
別に興味ないし。
てゆうか、お前ら歳言えよ。

「椿は、歳教えて欲しいみたい」
兄ちゃんが私の顔を見て2人に言った。

「優君と同い年の20歳だよ」
「俺は23歳」
なんだ、原は年上なのか。
この歳で結婚してないんだな。
薬指に指輪はなかった。