――目が覚めると、もう兄ちゃんはいなかった。
綺麗にたたまれた布団。

リビングに行くと、一枚の紙と、鍵。
『バイト行ってくる。
帰るのは、4時くらいになると思う。
出掛けるときは、鍵閉めてな』

まだ8時だよ?
「いつ出たのさ」
兄ちゃんといると、警戒心が弱まる。
安心仕切ってるな。
まずいよ、ヤクザで安心しきるなんて。
「はぁ」
自然と出るため息。

――ピンポーン
「はぁーい」
鞄から銃を出して、服の下にしのばせる。

―カチャ
「‥‥‥え?」
私を見て驚いている男。
なんなんだ。
この男。
「あー、あの。
ここって星野優の家ですよ‥ね?」
「そうですよ。
その星野優になんか用ですか?」
「や、あの‥。
なんでもないです、はい」
ペコペコしながらエレベーターの方に行った男。
なんだったんだ?
あの男。

兄ちゃんの友達かな?
なんて思ってたりして。