「悪い、椿。
起こして、外にまで連れ出して」
「いいよいいよ。
どうかしたの?」
「連れて行きたい場所があってさ」
「‥どこ?」
「ついてからのお楽しみってやつ」

なんだそれ。

1時間くらい車で移動した。

「おりてみな」
そう言われおりる。

「‥‥す、すごい」
朝日が奥から出て来て、地球を照らす。

「俺も最近ここ見付けたんだよね。
椿にも、見してやりたくてさ」
綺麗だね。
私は、きっと一生忘れないと思う。

「兄ちゃん、私は、生まれてきてよかったんだよね」
突然出て来た言葉。
自分でもビックリだった。
私はただ、『兄ちゃん、綺麗だね。 また、連れて来てよ』そう言おうとしただけ。

「今のは、わす――「当たり前だ。
生まれてきちゃいけない奴は、この世には存在しない」
私の声を遮って、兄ちゃんは優しく微笑み、言った。

いつも思う。
兄ちゃんの言葉は、すごいって。
私は兄ちゃんにそう言われるだけで、安心するんだ。